オエビに書いた小話ログと、貯めていた小話1つ

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「扉を閉めて、窓も閉めて、朝が来ることに気づかないで、一日過ごしてみたいんだ。寝るわけでもなく、ただじっとしてさ。」

「やったらいいだろ、お前は一日暇しているようなもんなんだから。」

「ずっとベッドにいるのは疲れるし、本を読むにも光がいるし、食べたり風呂に入ったりするためには部屋を出なくちゃならないし、なにより動きたくて仕方がなくなる。」

「じゃあ、やらなきゃいいだろ。今のお前は自由なんだから」

「そう、そう。そう考えていって気づいたんだ。」

「何に?」

「別にそこまで気になることでもなかった。別にやりたかったわけでもなんでもない。ただ思いついただけ。やりたいと思ったんじゃなくて、やりたいという言葉が頭に浮かんだだけだった。」

「そうだね、そこに気づくなんて、大したもんだよ」

「小ばかにされているような気がする」

「すごいすごい、敵わないや」

「ただただばかにされているような気がする」

 

(双子)

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「なあ、聞いてくれよ」

「なんだ、改まって」

「この間、また一人、死んだんだよ」

「まあひどい、殺人よ、非道だわ、どうして人の気持ちを考えられないの!」

「病気でだよ!っていうか、その喋りかた何だよ。気色悪い」

「…って、彼女ならそう言うと思って」

「彼女?お前の脇に置いてある、そのかつらみたいな色した髪の?」

「そうさ、そしてこっちは、ブロンドの青年。正義感にあふれてる。世の中の悪なんて、一掃できるってくらいに善を盲信している。」

「そういう風に、お前には見えているだけだよ」

「そうだね、俺にとっての理想だ」

「へえ、正義感が?」

「それもまあ、そうだけど、一つの感情、一つの思想、ただそれだけであることだよ」

「俺の理想は、あと5分以内に紅茶が出てくることだな」

「理想と言っても、追い求めているんじゃなくて、俺の中で組み立てられて、俺から見える世界の中の話さ」

「ああ、砂糖もミルクもいらないから…」

「正義感だとか、道徳観だとか、同じに教育を受けたはずなのに、見てる方向がバラバラなもんだから、俺はなんでかコーヒーの種類を選ぶみたいに石鹸の材料を探してるんだ」

「ついでにクッキーを一枚…」

「でも興味だけはあってね…」

「はい、どうも。」

「お金入らないから」

「ああ、ほんと?」

「ところで、石鹸の材料には熱い紅茶を出していてね、食べたいお菓子もサービスさ。最後の食べ物くらいは、気持ちよく食べてもらいたいじゃないか?だから…」

「あ、いいわ、帰るわ、金ここおいとくわ」


(麻酔と珈琲)

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どうでもよさげな
酒と殺人鬼どもの思い付きイメージ

強い↑弱い↓

おサツ
麻酔
ワルテ
兄貴
平和
珈琲
地下
BB
ノエル
ガスマスク
患者

思いついたからといってそれに関連するいかなる話もないけれど。ただ考えるのがたのしい。それだけだよ。

お サツと麻酔はダントツで強いと思う。微塵も酔う雰囲気はない。ワルテも飲めるようになったら飲めると思う。他に気を配りつつ全然酔わない。双子は飲む勢い で、すこーしずつ飲むだろう兄貴のほうが耐久性はありそう。平和はなくなれば飲み、なくなれば飲む。限界が来ると誰もいないところでぐっすや。兄貴はやめ 時をわきまえて酔わない程度に抑えるけど酔うと平和と同じパターン。珈琲はノーマル。酔うと思考能力が落ちる。地下は見栄を張るけど実は弱い。酔うと頭痛 に見舞われる。そしてイライラする。BBは軽いものを飲みまくる。酔っても態度には出ないで突然倒れるパターン。ノエルはワルテと対照的に弱い。でも全然 気づかず飲みまくる。酔っても変わらない。ただ本人の思考は止まる。ガスマスクも慣れていないせいもあって、得意ではない。酔うと吐き気に見舞われる。で も眠くなろうがクラクラしようが風呂に入るまでは無理やり正気を保つ。患者はそもそも味が嫌い。酔うと通常に増して笑う。


もし、飲むとしたらの、話であって、
そもそも普段酒を飲むようなキャラが少ない。

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「あるときフッと、急に気が滅入る。その気分の中に落ち込んで、その根っ こを探し出して引っ掴んで、それが何なのか追い詰めて見てみたいと思う。だけど俺は取り繕うための俺のためにそうすることができない。俺は折角長い年月か けて作り上げた隠れ家を、一瞬だってわかっているそれのために、自分で壊すことができない。だから、いつも、『その気持ちはまた後で』って、俺に言うん だ。だけどまた後なんでもう来やしない。いくらその気持ちを思い出そうとしても、もうその気持ちになることはできない。覚えているのは流れの中で強烈だっ た言葉の端くれくらい。大事な鍵とでも思っていたその中には、本当は何にもはいっちゃいなかったんだって気づくのは、たいてい後になってからなんだ。あの 時俺の中にあった、色んな外的内的な要素の集合は、全く同じものを再び揃えてみたところで、二度と組み立てることができない。そもそも、感情や思考に、後 も何もあったもんじゃないと思うのに、それが再び取り出せるもののように、なぜ思うのだろう。」

「ああ、その考え、とってもすきだな。ほしいな。 わかるか、なあ、そんなものさ。ちょっとした形のあるものって大体何かに似てると思えるものさ。俺達は人間だからね、そういう風に見えるんだ。そういう風 に学んでしまうんだ。同じものなどないのに、似ていれば似ているほど同じだって思うんだ。適当なんだよ俺達。その適当さのせいで、目印をつけて満足するん だ。目印と目印の先とは別物なのに、代替化して同じものに見る。お前に残っているのは、泣きたい気分の表情の皮と、目印をつけたって達成感だけさ。結局 きっとそれでしかないんだよ。中身なんかないんだ。それだけが残ってる。どんなに突き詰めていったってね、それが形となって出てきて、その面だったんだか ら、それ以外に何も求めることはないんだよ。」

「そうは言っても、その奥にきっと、面の皮には埋めきれない複雑なものがあると思うんだよ。思わないか?お前は感じないか?その、面を作っているのがなんなのか!俺んちの壁を勝手に塗り替えていく奴らが一体誰なのか!」

「見えないのなら見えないでいいさ。俺が衣装を選ぶ邪魔をしない分行儀のいいもんだよ。奴らも俺に選ばれる薄皮の内の一枚でしかない。」

「お前が深く考えてるのかいないのか、よくわからない。」

「俺 とお前とでは、そいつに向かって立ってる場所が違うのさ。お前にそれがどれだけ大きく見えているか知らないけどね、俺にとっては小さなゴマ粒みたいなもの なんだよ。ああ、そうだ豆を煎らなくちゃね。そっから入れたホットコーヒーを飲んでみなよ。勿論ブラックで。きっと今言ったこと全部忘れちゃうよ。苦い、 暖かい、喉が潤って…ああ、まあ、いいかって思うに違いない。なんだったっけ?って思うに違いない。簡単に細分される。そこから、面白そうな切れ端だけ拾 い上げる位が、お茶の伴にはぴったりだ。」

(麻酔と珈琲)



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「やあ、やあ、どうも。善良な市民を守る、ポリゼイ・サン。世の中、共感だの、信頼だの、大きな風船がたくさん飛んでいてね。邪魔で、邪魔で仕方がないんだ。善良な市民のために掃除をしてくれないか?」

「生憎、善良じゃない市民でもない奴のために、警察さんは動かないんだよ」

「ああ、流石国家のクソ犬!あんたらの中にあるのは、あんたらの原動力は、飼い主からもらえる金属の餌とガチガチに固い鎖だってわけだね。平和でなにより。」

「だれもかれも本当に他人を理解できるわけでもないのに、どうして他人の命を守るようなことをするのか、まったく俺には疑問だよ。」

「結局ね、暇なんだよ。」

「自分の命を守るのが面倒だから、他人に任せてしまっているんだろうか。」

「そいつを俺に聞いちゃならないよ、善良な側にいるんだ、あんたは。形の上では。」

「形なんて何にもないよ。」

「しっているよ。こないだね、往来でコミックを真面目な顔して読んでいる善良な市民が言ったのさ。『キャラクターが死ぬときは、読者の心に突き刺さるような印象を持っていなくちゃ』ってね。」

「ああそう。あ、あと10分で昼の休憩だ。」

「俺は大笑ってやりたくなったね。『随分と深刻に、たのしいギャグを思いつくもんだね!!』ってな。」

「あと10分で終わらせてくれよ。」

「だって、なあ、所詮暇つぶしに読んでいるものだぜ。たとえ、その暇つぶしの中で俺たちに感動だの改心だの、ええ?心に突き刺さるふかぁいもんがあったと してだ。それで?そんなもんは現実にあるかって話なんだよ。だってそうだろ、あのぺらっぺらの紙に描かれているのは、あくまで想像なんだ。他人の考えはこ うなんじゃないのって、性善説的なドリーム。現実じゃ俺も、あんたもその他のクソ共も、だれも自分以外の考えなんてわかっちゃいない。あんただって10分 のカウントダウンで忙しいかもしれないけど、ホントのところ頭にロック掛けてるだけってこともある。」

「そりゃあな。」

「つまり、あんなかには、本当のことが描いてありそうで、実は全くないんだ。嘘の塊だよ。あんなかから、学べる気になれるのは、他人がいくらクソみたいに 見えても、本当は善良なんですよ〜って、俺たちに想像させて、登場人物たちに善い行いをさせて、もちろん悪行でも構わない。そいで、そいつらが何かしらの 行動をして、最終的に俺たちの中にキレーな心を残そうって魂胆に丸め込まれるからなんだよ。まあそりゃ、一部の話だろうけど、俺が言いたいのはつまりだ、 世界が求めているのは結局、高級な倫理観で、そんなものは実際存在すらしないのに、存在すると皆に思い込ませて、それがあるかの風に世界を偽装しようとし ているということでね。」

「どうでもいいよ。世の中敵だらけなのは知っているよ。誰もホントのところは手をつないだりなんかしちゃいない。握手をするときには手袋をつけて毒を塗っているんだよ。へらへら笑いながら、いつこいつを抹殺して俺のよりよい生活の一部にしてやろうかって考えてんのさ。」

「被害妄想が激しいね。ははは。そういうのも悪くはないけど、実際のところは誰もあんたに興味なんかないし、あんたも誰にも興味がないんだよ。俺が今話しているのは、ポリゼイ・サン全般の端くれで、あんた自身じゃないんだよ。」

「逆も、然り。」

「そう。そんなわけでね。他人への共感だの、個々人の良心だのっていうものの本質はね、俺は、暇なんだって思うわけだよ。これがすきだ、あれがきらいだ。みんな暇だからそう言えるのさ。」

「生きるためには、スキキライ言ってられないって、そういうことじゃないだろうな。」

「もちろん、違うとも。それでもいいけど。これだあれだって、俺たち結局なんにもしていないんだぜ。適当に暇な奴が、暇なんで、お前みたいにクソ犬になっ て俺たちに餌を配り歩く。そうしてね、与えられた俺たちは、机に脚を乗っけて、椅子を傾けながら言うんだよ、『これじゃないのがいい』って。なあ?ぶっ殺 したくなるね?了解。そいつを殺そう。俺のことかな?もっともっと簡単に一言で言えば、他人の考えなんてわかるはずがないのに、それを前提とした倫理観を 求めるのが気に食わないっつう話。いいや、求めてもいい、それはそれで。てめえの中でだけなら許す。だけどそれは俺には押し付けられないもんだぜ。な あ。」

「お前の考えも俺に押し付けないでくれよ。」

「おーい、おい。当たり前だろ。お前は5分後の飯のことでも考えてりゃいいんだよ。」

「3分だ。」

「つまり結局、目の前にあるのは、用意された選択肢は、モノでしかない。俺にとっては、ジャガイモもあんたも同じようなもんなんだよ。あんたにとっても。 どんなにすばらしいコミックで登場人物が正義を悪を豪語しようと、どうでもいいんだよ。その中にある、作者の意図も、想定される読者心理も、どうでもいい んだ。ただね、暇だから、用意された荷馬車に乗って揺られるだけなんだ。目が覚めたらさっさと降りるよ。何せ、乗るつもりじゃなかったし、そんなところに 至って、ケツが痛くて居心地が悪い。」

「お前が、にこにこと笑顔で寄ってきて、『こんにちは、兄弟。いい天気だね。』だなんて言ってきたら、悍ましくて人生初めての恐怖を覚えるだろう。」

「ああ、そりゃ残念だよ。あんたに恐怖を味あわせてやれないんだ。いや、それでもあんたに天気の話をするほどになるくらいだったら、マシどころのもんじゃないね。今この瞬間、素晴らしい世界だ。」

「昼の時間だ。何を食おうかな。面倒だから、その辺で買って食おう。」

「何もかも暇つぶしだ。そこにはキレイなもんなんてなんもない。それでもいいって。それも暇つぶし。それでもいいんだって。そいつは何にも見ちゃいない。 俺にも何も見えちゃいない。自分の世界しか。自分の世界しか。自分の世界しか。ここには俺しかいない。俺一人だけだ。最初からそうだ。存在しない。最後ま で。誰もない。俺はしゃべってさえいない。退屈だなあ。」

(サツとBB)