
与えているのでないとしたら
奪われているのだ
流しているのでないとしたら
吸われているのだ
どんどん、どんどん、
小さくなっていくのがわかる
最後にはカスしか残らないで
見た目はそこいらの残飯に似ている
ああ
左手のないまま
右手で握手しようとしてこないでくれ
夢を見たけど忘れた
でもそれでよかったのかもしれない
この口を縫い合わしたら
静かになるだろうか
たったの一瞬が
今では無数に同じ瞬間になり果てた
ただ、暗いほうを見る
すぐそこが壁でも
ふわりと落ちていきたい暗がりがある
手を伸ばすと暖かい
ひゅうっと冷たい
あたたかい あたたかい
おかえり
おかえり
君を再び食べよう
自分で作った
静かで暗い部屋
そこにはなにもない
歪で狭くて細くて苦しい
それでもいとしい我が家です
俺は声を聞く
遠くか、近くか
わからない
声がする
俺は笑ってよろしくって言うよ
でも、その手は見えないから
きっとずっと握らないだろうな
------

指一本の先にある
両手が世界を握る
正方形のパズルみたいにぐるりと回る
何もない世界へ
なんて心地がよいのか
なんてすばらしいのか
なんてことさえ感じない
ぺしゃんこに潰れた世界へ
------
目の前にいる見えないこの誰かが気持ちが悪くて仕方がない

念入りに言葉で包まれたその衣装を
俺は持たされて持ってただ立ち尽くしている
開けたらたのしいことでも待ってんだろうか
今の服を気に入っているんだ
自分を騙すのにも限界が来た
そこにいるのは誰なのだろう
知らない人間がいる
誰なのだろう
もう挨拶する力もない
腕が疲れてしまった
あんたは誰だ
どうでもいいね
俺を向いて誰かと話している

患者

なににもやる気がおきない
なんだか疲れたな

もとにもどった
これがきっと安全策だと
思っていたけれど
もとにもどった
最初に戻って
もう一度繰り返しただけだった
ここときめて再び
いやしかしやはり
繰り返すのだろう

いつしか
いつしか
この体ではなく
手のひらに乗るこの記号が
まなざしにとっては俺なのだ
俺にとっても
いつしか
いつしか
いつしか

どんなに遠くに行っても
必ず帰ってくる
変わらぬままで埃を被っている
埃の下から呼んでいる
いつの日かの彼らは
いつの日かと同じように
なんだってやってのける
いつの日かの彼らのまま
彼らは自分で埃を払おうとはしない
彼らの中に入れておいた
部屋の入り口は真っ暗
そこに立ってみろ
突き落としてやるから
泣いて笑って
埃の下に戻っておいで

ただ静かで
ただなにもなく
腕を広げても
何にも触れない
最初の息さえ
始まらないような
スイッチを押し上げる
直前のなかに

己を慰めたあの灰色の言葉も
こされて薄く透明になった
もはや目に見えないそいつは
無い質となって纏わりついて
そうして俺を
潰して失くすのだろう

ここなら何にも聞こえない

その劇場には呼ばないでくれ
おそらく客席の端しか空いていない
仮面を一枚渡されて
さあ君の番だと
台詞を渡される
僕にはそれが読めない
紙には僕の名前が書いてある
僕にはそれが読めない
------

高い 高い 海の上から
釣具がぼとんと落っこちた
あっ
という間に海の中
真っ青 青 な海の中
手を伸ばしてぞっとする
重いそいつを追うように
心だけが底までついてゆく
きゅっと潰れる気持ちの悪さ
一緒に真っ暗
一緒に砂被り
一緒に冷たく忘れられ
明るすぎる太陽を
二度と見ることもなく
ただ上を見て
まあ暗いと
目からぽこんと泡をふく
泣いても笑んでもなにもない
ない目はどんどん薄れゆく
------

失敗を成功だと思って
完全と勘違って
一体何が本当なのやら
教えてくれた君は
ぜえぜえと息を切らす
ねえ
それであっていた?
ねえ、どうして
ついておいでと言うの?
君はどこにいるの
ここは今だよ

後ろを振り返ってはいけない
一度でもそいつと目が合ったら
そいつは俺の隅っこにずっと居座り続けるんだから

消灯
なんにも見えなくなります
なーんにも見えなくなります

ワルテは成長期ですからね
ぐんぐん伸びていくでしょう

砂漠の砂の
一粒の小石みたいな
そんなもんしか
もう残っていないんだ
------
漠然と向こうの先の崩壊だけが見える

俺にはよくわからない
想像ができない
そんな世界は知らない
そんな世界があるだなんて
そんな世界は見たこともない
俺は哀れなんだろうか
俺は惨めなんだろうか
俺はそれが欲しいんだろうか
わからない
きっとただ
ちょっと齧ってみたいだけなんだ
別にここに残しておきたいわけじゃない
そんなものを置く場所などない
俺には虚像にしか見えない
俺には何にもないから
俺とおんなじようにしか見えない
俺は哀れなんだろうか
寒い個室に慣れているんだ
それで俺なんだからもういいや

ここにあるのはなんだろう
不思議な物体
見たことのない見たことのある物体
聞いたことのない聞いたことのある音
これは言葉なのか
これは音なのか
これは耳の振動なのか
これは脳の反応なのか
俺がおかしいだけなのか
結局なんなんだって
目を閉じる前に
再び通過する痛み
頭がどんどん磨り減って
ぺっちゃんこになるんじゃないかって
ぺらぺらの液体なんだ
俺の目玉も
もうなにも

笑う 笑う 笑う
よろしく
にこっ
がんばります
はあ。
---
若サツ

俺も君も彼も彼女も
俺じゃないし君じゃないし彼じゃないし彼女じゃない
クローゼットにしまっては取り出す
じわじわと溶けて
ぴったりついて離れない
眼窩から、ピンポン玉を取り出す
黒マジックで塗りなおして完成
明日は口を縫い直すんです

ああ、どうか俺を
この浮遊感から
すくい上げないでくれ
俺に使命を与えないでくれ
俺に意味を与えないでくれ
俺を必要としないでくれ
俺をこのままずっと
俺にこのままずっと
どこに連れて行かれるんだろう
帰ってこられるのだろうか
ここに、ここに
帰ってきたとき…。
俺に目玉はあるだろうか
それとも、
後ろの影を追っていたいんだ
ぐるぐる回って
追いつけない影を踏もうとして
影の見えない夕方を
ずっと
とび回っていたいんだよ

ルカが死ぬ前のルカとサツの話を描きたい

それが俺だよ
うん、そうだね それでいいや
11月23日(いい兄さん)ということで。
双子はお互いに別に要求を押し通そうという感じはないので兄貴が動こうとしなければどうにもしない。
そして位置を変えるために最終コマ反転したんだけどその結果兄貴の髪わけが逆になった。

精神外科が描いた患者
→本人は気づいていないが、片側がおかしなことになっている。
麻酔が描いたガスマスク
→カートゥーンみたい。リアルじゃない。模写するつもりはない。
ガスマスクが描いた悪魔崇拝
→普通にうまい。でも薄い。
地下が描いた精神外科
→空間で見ているので素人なりにわりと書けている。目は書かない。
珈琲屋が描いた麻酔
→なんかしゃれおつ。イメージで描いている。
患者が描いたなにか
→論外。

兄貴が描いた地下
→細かく見ていない
平和が描いたBB
→気分で描き方が変わる
サツが描いた双子
→部品がみんな同じ
BBが描いた珈琲屋
→筆圧が強くて暗い、でもわりと描ける
ワルテが描いたサツ
→写実的に描こうとするけど画力がない

あなたの言葉がうれしい

使えるものは何でも使う
右下に落ちているのは食いちぎった人間の肉


名づけて苛性カリウム風呂

サツの髪を切ってみる

それはまるで
生ぬるくて気持ちの悪い
風のようなものだった

なんとなく麻酔

なんで逃げるんだよ
---
2012/01/24〜2012/11/25