すいていたはずの。
熱烈に、熱心に、信仰していたはずの、
あの子はもう、ここにいない
ここには写真もなく、
あの子の言葉もなく、
声の記録も、映像も、
あの子が残したなにもない
あの子が百年後に
全く同じ姿で
目の前に現れたとき、
がっかりしやしないか?
会わない一から百の間に、
あの子は俺の中の理想を蓄えぶくぶくと肥えていく
そうして痩せ細った本当のあの子に
俺は気づけるだろうか?

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明日は、こうしよう
今度、あれがしたい
そんな、まるで、未来が、確実に存在しているかのような期待を含んだ思考
そうして先延ばしにされたそれらは
今に現れることもなく忘れられ、
明日や今度は、死ぬまで無限に繰り返される
ちらつく死の影が警告するが、
俺はそれらを実現すればいいのだろうか
きっと奴は突然に不意に現れ奪っていくのだろうが
俺はそれまで、どうしていれば、
やあ兄弟、なんつって、握手を交わせるのだろうか




皆が過ぎ去った過去の草原
足跡も消えた青空の下
耳に残った彼らの声を繰り返してみても
目に浮かぶのは煤けた昼の光
過去から彼らを呼んでみても
向こうを向いた彼らに聞こえることはない
置き去りにされた私はいつまでも
枯れゆく草木に足を下ろすのが恐ろしくて
どんどん高く遠のいていく
どんどん帰れなくなっていく

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ハロウィン



宙に浮いた体と同じに
思考も一緒に飛んだまま戻らず
その心地よさにしがみついて
そうして過ぎ去る足音を
引き止める素振りの力も緩く
ただ、今に甘んじて
彼らの歩みが止めばいいと思う

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魔法が使えない



何もかも失って
残ったのはただ
そこにある一つの塊を
切って開いて
細かくする術だけ

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安定の4人組

201505.06-201601頃