おれは
俺の内にある一人の世界で
俺という店を開いていて
他の人間はただの客なんだ

俺は店でただひとりの店番
仕事をしているんだ

人間は皆
俺の店のカウンターに腰掛けて、
俺という店番と
他愛のない話をするけれど
店の奥には入れない

俺はただ仕事をしている
店を閉めることはできない
やめることもできなければ
報酬もない
でもそれが全てだから

こいつには終わりがない

さあ、いよいよ、
俺はどうしても一人しかいない
わかるだろう
俺という世界には俺しかいない
俺は日記にそう書き付ける
清々しいことだ

彼らの前に
味わい深いランチは存在しない
俺がテーブルに乗っけることをしないから
その始まりはついには来ないだろう

それだけでいいのだ
温かい紅茶と小腹を満たすパンさえあれば
みんな満足して帰っていく

それを延々繰り返す
もう仕事も板についたもので

俺は仕事をしている
誰から与えられたわけでもない

俺は仕事をしている
もはや義務と化し、
今少しずつ飽きてきている

報酬はないといったけど
厳密にはなくもない
でもそれは俺が作って
俺自身に
与えているようなもので
いわば日々の三食だ
やはり報酬とは言えないかもしれない
たまにあるプレゼントで
俺は材料をもらうだけ

やっぱり俺は、
仕事をしている
欲しいものは別にないんだ
事実を貰っても
空気を掴むようで
自然と入ってくるものを
あえてこちらから
引き込む必要はない


ただ仕事をしている
なにも意図はない
割り振られた仕事をこなしているだけ

 

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珈琲屋